iPhoneやiPadはなぜアメリカで作れないのか?

(2011年2月17日、オバマ大統領とジョブズCEOやIT企業経営者が会食)

アメリカは大統領選挙の年。深刻な雇用問題が争点の1つになるのは確実です。ニューヨーク・タイムスが、アメリカが開発したiPhoneがアメリカ国内で生産されず、雇用を増加させていないことについて報じています。

昨年、Appleは約7000万台のiPhone、約3000万台のiPadを販売しましたが、アメリカで製造しているのはSamsungのテキサス工場で生産されているA5プロセッサくらいで、他のコンポーネントや組み立ては海外で行われています。

約1年前、オバマ大統領とジョブズ氏は他のIT経営者を交えての夕食会を開きました。その時の会話の内容が今頃になって話題になっています。

オバマ大統領はジョブズ氏に向かって「なぜ、iPhoneやiPadをアメリカ国内で作れないのか?」という趣旨の発言をしました。

伝記によると「ジョブズは、米国はエンジニアを増やす方法を見つけ出さなければならないと重ねて訴えた。アップルは中国の工場で70万人の作業員を雇っており、それだけの人数をサポートするには3万人のエンジニアを派遣しなければならない。『でも、米国でそれだけのエンジニアを見つけることはできません』」とエンジニアの不足を説きました。

中国国内では、すぐに大量の技術者や工場労働者を低賃金で集めることができます。例えば深センのフォックスコンの組立工場の周辺には、コンポーネントを製造する工場があり、すぐに納品できる体制があります。

フォックスコンはAppleのような顧客から発注があれば、すぐに生産にかかることができますが、アメリカ国内では、技術者を集めるだけで大変ですし、部品を供給する工場もありません。

主要組み立てメーカーのフォックスコンはSONYなどの日本メーカーの組み立ても担当し、中国構内だけで50万人以上の労働者を抱えています。果たしてそのようなことが中国以外の国で可能でしょうか? 少なくともAppleの厳しいオーダーに応えることができるのはフォックスコンなどの台湾・中国のメーカーだけです。

このようなことが話題になるのは、アメリカ国内の中間層が減り、貧富の差が拡大している事情があります。アメリカ国民の多くが、オバマ大統領の経済政策に不満を持っているため、その矛先が時価総額世界一の企業となったAppleに向かっているようです。

→ニューヨーク・タイムズ