最近、電子書籍の報道が多くなりましたね。先週の報道特集では、本を電子データ化して公開するGoogleブックスや来年から書籍を販売するGoogleエディションなどについて報道されていました。
また、所有している本を自分で電子化する”自炊”も話題に登っていました。実は我が家にも1000冊以上の本があってスペースをとるので、いずれスキャンニング業者に依頼してPDF化したいと思っていたのですが、点数を絞りこまないと大変な費用になりそうです。
番組の中では、Googleという私企業が何もかも電子化していくことについて問題はないのかとキャスターが問題提起をしていました。もちろん、あらゆるもののデータ化はGoogle自身に刻まれたDNAですから、よほどののことがない限り、その路線を変えることはないでしょうね。
実は電子書籍を驚異を感じているのは、印刷業界や出版流通業界だけでなくて、コンテンツを生み出す作家自身も感じているということです。
例えば、同じデジタルコンテンツの音楽にはアマチュア→インディーズ→メジャー・デビューとそれぞれに大きな溝がありますが、文字データの集合体である電子書籍には、それほどの溝がないということです。
もちろん、読者への宣伝の点からすれば、既存の作家と新規参入の作家には大きな差があるでしょうが、電子書籍というコンテンツ販売自体にはあまり差がありません。プロもアマチュアも同じネット上のブックストアで販売されるようになります。違うのはサイト内で目立つ場所にコンテンツへのリンクが配置されるかどうかくらいです。
ネットの特性として高評価(5つ星)を受けたものだけが、爆発的に売れるという現象が起きるかもしれません。内容の評価にはにはプロもアマチュアもありません。従って宣伝は初期の読み手を増やすでしょうが、それ以後は読者の評価=星印によって売上が決まるはずです。
電子書籍化で携帯小説でかなり下がった作家業への参入障壁がさらに下がることは間違いありません。ただ読者にとって気になることは、この状況(過当競争の状況)で高品質のコンテンツを生み出す作家が出現し続けるかどうかということです。既存の作家の中には過当競争で消耗戦を繰り広げる(収入が減る)市場で質の高いコンテンツが提供され続けることは困難だと考えている人もいます。
私は、作家は執筆活動だけで生計を立てるプロでなくても、アマチュアでよいのではないかと思っています。誰もが簡単にモノを書く事ができて他人に見てもらう機会を得られるのは、とても素晴らしいことです。電子書籍によって既得権を持った人が舞台から去ったとしても、必ず新しい才能を持った人が現れるはずです。高収入を得る人は少なくなるかも知れませんが、参入障壁が下がることによって作家を志す人の裾野は広がります。
電子書籍が今後、明確にどうなるかは分かりませんが、電子書籍が私たちの生活に大きな影響を与えることは確かでしょう。本自体の流通が変わり、表現方法が変わり、作家の層が変わり、受け取る私たちの意識も変わります。既存の価値観ばかりにこだわっていては、新たなな楽しみを逃してしまいます。
今は過渡期ですが、いずれ電子書籍も収まるところへ収まって行くのではないでしょうか。
MdN
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Last Updated on 2016年10月28日 by Editor
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