【ビジネス】トップ経営者に必要なのは「徳」か、それとも「冷酷さ」か

企業にしろ、企業以外の組織にしろ、トップになるためには、それなりの資質、人格を持っていなければならないと、一般的には考えられています。中国の古代には德知主義という国の治め方が説かれていました。徳のある統治者が、自らが持つ徳をもって人民を治めるべきであるとした孔子の統治論で、儒教の教えです。

日本においては德知主義は皇室に受け継がれています。天皇陛下は、我々のような世俗的な趣味嗜好に走って、損得感情で生きることは許されています。いつも神と向かい合いながら国民の幸福を記念されています。特に明治時代以降、帝国憲法が定められ、天皇中心に国家が構成されると今上天皇には、国を治め、国民の父的な存在として「徳」が求められてきました。

このことと、企業の社長を比較するのには無理がありますが、企業のトップの中には「社員は家族だ」と平然と語る社長がいるのも事実です。しかし、本当な家族ならば、解雇やリストラなどを行うわけがありませんから、ここで言う「家族」とは社長にとって都合良い場合だけ「家族」という意味です。

では、現代社会の企業を治める社長の中に徳を持った人が、どの程度いるのでしょうか。あなたは直接会ったことがあるでしょうか。悲しいことに、そのような人には巡り会うことはめったにないと思います。
昔のように権威ある人が、自らの私生活を明かさないことによって、高貴な人となり、権威を維持することは、現代社会ではほぼ不可能です。政治家、スポーツ選手、芸能人などの有名人や企業の社長などのプライバシーは、週刊誌やネットによってによって容易に暴かれ、SNSで拡散されます。もはや、世の中は権威泣き時代に突入しています。

では、現代社会では、何でもって統治するのでしょうか。
それは、法律などの成文法によって、約束事を決め、それを守らなければ、強権的に罰を与えるといった方法しかありません。確かにそれは正論であり、人類が長年培ってきた智恵でもあります。
しかし、忘れてはならないのは、法律は人間や集団が守るべき最低レベルを規定しているに過ぎません。
これをもって国家や社会を平和に治めることはできず、国民を導くには法律に加えて、為政者の徳が必要ですが、もはや現代では徳は期待できる状況ではなく、やはり、法律や警察権力に頼るほかありません。

法律や裁判所があっても、その時々の政権の意向や時代の趨勢によって判断が変わってきます。例えば、私たちにも直接関係する労働問題は、企業優先の政府の意向を反映して企業には痛くもかゆくもない判断が下されます。現在の日本において中小企業の社長は、明日にも社員を出社停止にできます。社長としては社員が文句を言って労働基準監督署へ行こうが、どうしようが、まったくかまわないのです。

現実の社会では、企業側は労働審判や裁判において、和解して相場のお金を支払えばそれで終わりなのです。もともと、裁判を覚悟したり、和解金を支払ったりするつもりならば社員の首など、いつでも飛ばせるるのです。

社員が職場復帰を求めても認めません。社長は裁判になってもよいと思っています。どうせ途中で和解の話し合いを持つことになるのは分かっているからです。このように解雇権の乱用が日本中の至る所で行われていますが、労働監督官庁は、この件については、調停や裁判で解決することで、ある意味逃げています。

従って日本の中小企業の社長はやりたい放題です。大手企業や公益法人などは、対外的にどう見えるかと言うことを気にしているので、それほど強引な手段を執らない傾向があります。
横暴なワンマン社長が社員を粗末にするのは、社員を辞めさせても募集すればいつでも補充できると思っているからです。

多くの社長が、人前では社員は宝だと良く言いますが、それは方便に過ぎません。時間外手当の不払いが横行し、辞めたくなければ社員は泣き寝入りをするしかありません。
ただし、あまりにも悪質だと、行政側も放っておけずに、会社には時間外手当の不払いなどで労働基準監督署の調査が入り、過去に遡って膨大な時間外手当を支払わせられる場合があります。

ワンマン社長も、これに懲りると社会保険労務士をコンサルタントにして謝意の労務士に委託契約するか、社内の社会保険労務士を使って、法すれすれでの労務管理を行うことを学びます。
社会保険労務士は、その名称からして、社員の身方のように聞こえますが、実際そうではありません。彼らの多くが、いかに賃金を抑え、いかに労働法すれすれで、社員を働らかさせるかについて社長や役員に提言しています。

Last Updated on 2022年7月14日 by Editor

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