なぜ、アノニマス(Anonymous)に共感する人が多いのか。

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自由とは曖昧かつ漠然とした言葉です。人によって自由の意味、脳内にイメージするところはかなり違うようです。そこが、今回の著作権法改正による違法ダウンロードの厳罰化の問題に対して意見が分かれる原因となっているのかもしれません。(しかし、今回の改正には刑罰化という価値観の違いだけではすまされない部分が含まれているので、記事として取り上げました。)

今回の著作権法改正に関するアノニマスの宣言は、過激な内容が含まれているとは言え、基本的な考え方については、共感を覚える人は多いのではないでしょうか。(全文訳がWIREDに掲載されています)

これまでは、違法コンテンツに関する刑罰は、提供側にしか適用されませんでしたが、今後は故意に入手した側にも刑罰が科せられることになります。

ここが大きなポイントです。違法コンテンツの取り締まりに関しては、コンテンツを提供する側に責任を持たせ、違法な配布を行えば罰するというのは、ほぼ世界中で理解が得られるところです。しかし、今回の著作権法改正のように入手する側を罰することは、意見が分かれるところで、先進国の中では日本が一歩踏み出した格好です。これによって日本人のネット上でコンテンツを楽しむ行為を萎縮させる可能性があります。

日本のユーザーは10月以降、いつも、これは違法なのか、それとも適法なのか、判断しながらコンテンツを見たり、聞いたりする必要があります。ビジネスで展開している有名サイトで提供されるコンテンツは(ある程度)安心だとしても、個人がネット上で提供するコンテンツは判断に困ります。

この法律をプッシュした人たちは、罰せられるのは「故意」の場合だけだと言うでしょうが、できるだけ面倒なことに巻き込まれたくないという心理がユーザー側に働きます。それによって、結果的にネット上で無料のコンテンツを提供し、新しいことに取り組んだり、PRしたいとう人たちの場が奪われるかもしれません。

今回の著作権法改正(改悪)は、著作権団体側の意見が繁栄された結果ですが、まさに「木を見て森を見ず」の状況です。それでなくても、日本人は個人情報保護法に見られるように過剰反応しやすい国民性です。これによって、どれだけ自由な発想がかき消されてしまうのか、本当に心配です。

もう一つのポイントは、JASRACなど音楽著作権団体が、プロバイダ側に、違法コンテンツのチェックプログラム導入を要請したことです。アノニマスが反応したのは、特にこの動きだと思われます。彼らにとっては、個人の許可なく、勝手にコンテンツを検閲(チェック)するような動きです。これこそまさに自由の侵害なのです。

これは人の家に盗品があるかもしれなからと、絶えず、チェックするような行為です。少なくともアノニマスにはそう写っていますし、この事実を知っている世界中のかなりの人がそう思うでしょう。

今回の著作権法の改正と音楽著作権団体の行為に対する見方は、一方では「違法なのだから罰せられて当然」というように、かなり意見が分かれるていますが、今回の問題は、意見が分かれる問題を政府(及び当該官庁)が著作権団体の立場にだけ立って、一方的に決めてしまったことです。

おそらく、この著作権法改正によって、CD販売が伸びることないでしょう。(構造的な問題を抱えています)

アノニマスもそう見ていますし、多くの人がそう思っています。(JASRACさえ、そう思っているかもしれません)

背景には、音楽著作権団体の活動が硬直化してしまい、(目先の違法性にこだわるあまり)長期的な視野に立って、売り上げ向上を目指すという方向へ向いていないことがあるような気がします。そこに多くの人が反感を持ち、アノニマスの主張と行為(自由を侵害すると同様の方法で侵害する)に共感を覚えるのではないでしょうか。

Last Updated on 2017年7月11日 by Editor

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