アメリカでは、政治的には右派で、堕胎や人妊娠中絶の禁止、LGBTを認めないキリスト教プロテスタントに属する福音派と呼ばれる人たちが、約総人口3億3万人のうち20%以上も存在している。(30%以上という統計もある)
この福音派の人たちは、個人的にイエス・キリストを受け入れる信仰によって変えられなければならないと考え、霊的生活の中心としての聖書中心種主義、キリストの十字架とそれがもたらした幸福について重視している。
この人たちは、日常的にイエス・キリストと内面的に対話をしながら、信仰生活を送っている。この福音派は、政治的には共和党の右派に属し、前トランプ大統領の熱烈な支持者であった。トランプ大統領が、数々の政変により政権基盤を揺るがされても、大統領職を継続できたのは、この福音派がトランプ大統領の鉄板支持者だったからだ。
トランプ前大統領自身は、それほど信仰には熱心ではなく、興味があるのは金と金と権力だが、政権を維持するためにこの福音派の主張を非常に大事にした。トランプ大統領は、最高裁判事が交代の度に妊娠中絶やLGBTに反対する疾走を持つ最高さウ判事を任命してきた。(最高裁判事の任命権は、大統領にあるが、判事の任期に制限はなく、終身人気となっている)
福音派は、基本的に信仰に熱心な人ほど聖書に書かれていること以外は信じないという姿勢だから、現実的な政治や社会情勢との調整が困難になってくる。例えば、二酸化炭素排出による地球温暖化を信じていないし、聖書に書いていない進化論は無視し、聖書の天地創造を信じている。
アメリカでは、当然ながら信仰は自由であり、政治が信仰に関わることは許さないが、宗教が政治に関わるのはOKというヨーロッパと同じスタイルだ。このあたりは、八百万の神と同時に仏教を取り入れてきた日本人には、分かりにくいところだ。
日本で言う政教分離とは、政治と宗教が一定の距離を保つことであり、現在は与党になっている公明党も支持母体が創価学会であることは認めているが、創価学会が公的に政治に口を挟むことはないという建前になっている。
従って日本とは異なり、アメリカでは選挙の度に宗教が政治に政策実現を働きかける。そのために有力政治家に多額の資金を提供する。
統一教会の教祖、文鮮明もアメリカでは、魚介類の販売などのビジネスを手がけたり、右派の言論を主張するワシントンタイムスを創設し、金銭面や言論面でもアメリカ政治に影響を与えている。
統一教会は、単純に個人の救済を説くだけの宗教ではなく、文鮮明の主張を世界的に実現するための宗教団体であるところが、そこらあたりの宗教とは異なるところだ。
従って、日本の国内政治にも影響を及ぼすために政治家に接近していた。それは政治家の看板を使って信者を獲得しやすくするというだけの単純なことではない。
安倍元首相の殺害によって、日本では統一教会と政治観の抜き差しならぬ関係が明らかになりつつあるが、恐ろしいのは自民党の憲法草案が、統一教会の作成した憲法案とそっくりであることや、各種施策において家庭という単位を重視する姿勢は、統一教会の強い影響を受けていると言われている。(例えば子ども家庭庁の創設)
統一教会の問題は、ただ単に元首相の死や政治家の選挙運動支援に治まらず、日本の政党政治が、外国の宗教指導者の教義実現に協力しているという問題にまで発展するかも知れないことだ。
M林檎
Last Updated on 2022年8月6日 by Editor
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