哲学コンサルティングなど、哲学がビジネス現場で活用される理由

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Apple、Googleなどの大手IT企業を含め、哲学者を雇用しインハウス・フィロソファー(企業専属哲学者)として正式に雇用する企業が世界的に増えています。

企業に雇用されたインハウス・フィロソファー(企業専属哲学者)の中には、企業経営に深く関わり、経営会議に参加するCPO(Chief Philosophy Officer=最高哲学責任者)になった者までいます。CPOは、経営方針など、より本質的な分部への助言を与えます。

Business Insiderが、企業が哲学者を雇う理由について説明しているので、哲学コンサルティングや企業内での哲学の利用についてご紹介します。

企業内の哲学者としての業務は、企業理念の明確化や策定、倫理規程の策定などのほか、具体的に社員や組織を哲学的な視点から強化などです。

組織の強化策としては、社員間のコミュニケーションの改善、チームビルディング、適正な思考をする社員の養成などに広がっています。このような状況から、哲学コンサルティングをメインにするコンサルティングファームが世界中で設立され、実績をあげています。

日本初の哲学コンサルティング企業であるクロス・フィロソフィーズの代表であり、哲学者、上智大学非常勤講師の吉田幸司氏によると、哲学コンサルティングが広まっている理由として以下のように述べています。

理由は大きく二つあると思います。
一つは、従来のメソッドが通用しなくなっていることです。例えば、大企業はこれまで、市場のニーズを知るために何千万、何億円を投入してマーケットリサーチを行ってきました。ですが、こうした従来通りのメソッドだけでは、人々がなにを求めているのか、なぜ商品Aは売れるのにBは売れないのかといったことはもはや分からなくなっています。(中略)
もう一つは、従来のメソッドが通用しないという過去目線とは逆に、未来に向けてなにをなすべきか、なにを達成したら成功なのかも分からなくなっていることがあると思います。

要するにこれまでのマーケティングだけの視点では、企業経営が成り立ちにくくなっているようです。

しかし、同氏は、日本では哲学の捉え方が、間違っていると述べています。それには二つの流れがあると述べます。

哲学や哲学史に関する知識としてのブーム。もう一つは、そうした哲学の教養がこれからのビジネスパーソンには必須で、ビジネスや日々の悩みに答えを与えてくれるという流れです。

さらに哲学は、ただの教養にとどまらず、「なぜそうなるのか」など、筋道を立てて考えるのが本来の哲学的な態度だと述べます。

日本では、本来哲学コンサルティングで一番重要な部分である企業・経営理念の構築や根拠づけ、倫理規定・コンプライアンス策定といった経営レベルのもの少なく、コンセプトメイキング、マーケティングリサーチ、アイデアワーク、人材育成・社員研修などの実用レベルでの活用が多いそうです。

おそらくその理由は、哲学コンサルティングが、いまだに高齢者の多い企業経営者には理解されておらず、研修担当の課長たちが、頑張って実用レベルで取り入れている段階のようです。

通常、このようなコンサルティングの導入は、トップダウンで行わなければならないのですが、多くの場合、日本でありがちなボトムアップでの導入にとどまっているのが現状のようです。

[参考]
「Ph.D.(哲学博士)について」
米国でのPh.D.(哲学博士)は、伝統的な4学部のうち職業教育系の神学・法学・医学を除いた最高位の学位のことで、哲学分野の学位よりも圧倒的にそれ以外の分野のPh.D.の学位取得者が多いのが現状です。
日本では、哲学博士という名称は、哲学分野の博士という誤解を生むため、学際的な分野において学術博士(Ph.D.)という名称で学位を与え、哲学博士という名称は使用されていません。