「予測可能な事態」に「予測不可能な政策」で臨む政府と都知事

西村新型コロナ対策担当大臣は、経済再生担当相も兼務している。コロナ対策を推進する役割とコロナ対策を抑制する立場だ。もっと分かりやすく表現すると経済のブレーキを踏む役とアクセルを踏む役割を一人の大臣が兼務している。

そもそも、ここからおかしい。通常ならば、公衆衛生の専門組織を抱える厚生労働大臣を中心にして、そのサポート役として強力な専門家を副大臣に据えればよいのに、あえて西村大臣にコロナ対策をさせている。

この意味は、経済優先でコロナ対策を行うという政府、安倍総理の考え方が表れている。さらによく分からないのは、専門家会議を突然、廃止してしまったことだ。理由は、色々と言っているが、自分たち(政府側)の思うとおりにならないからというのが本音だろう。

委員会の廃止により、データ分析の評価などの客観的な数値とその読み取り方が、国民に知らされなくなった。専門家会議の廃止により、政府は、恣意的な政策を打ちやすくなった。

また、東京都も東京アラートを廃止し、コロナ対策は総合的に判断して行うことを決定した。大阪府のように数値を表に出して、これを超えると対策をとるといった指標は非公開となった。

「総合的に判断する」とは、結局、ブラックボックスの中で自由に判断できるという意味だ。

政府や都から市民や企業が、今後、どのような行動をとるべきなのか、予め予測できるような指標となる数値が公表されていないので、私たちは、どのような行動をとって良いか分からない。

もしも自粛のタイミングを国民や企業に任せるとなれば、新型コロナ感染を恐れない若年層は、かなり自由に行動するだろう。

そうなれば結果は見えている。だから、国民は基準となる数値が知りたいのだ。例えば、この3つの数値を超えれば、要警戒で、接待を伴う飲食店やカラオケ店の営業自粛、さらにこの数値を超えれば、もう一段階上の不要不急の外出の自粛などと段階的にすすめていくといった数値を公開しての段階方式が、分かりやすい。

新型コロナが、再び急速に感染を広げてから、急に厳しい措置をとって、経済全体を殺すよりも良いのではないか。

政府や都が、数値に縛られずにフリーハンドで決定を行いたいというスタンスは容認できないことに加え、さらに政府や都がの政策がどのように行われるのか予測が付かないので、国民が対策に向けて準備や新たな対応がとりにくい。

新型コロナの感染は、マクロ的にはある程度予測できることから、政府も渡橋とも予測可能な数値を含む政策を国民に提示して欲しい。

Last Updated on 2020年7月6日 by Editor

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