【モバイル林檎のパイナップル狂時代】「P1、東京スタンドアロン」

M林檎の部屋は、都心に近い住宅街の中にあり、外観はまるで一般住宅のような新築のワンルームだ。部屋は、トイレやシャワールームを除くと、わずか6畳の広さしかないが、部屋の中アイテムが何でも手に届くような距離にあるので結構気に入っている。ここで雑文を書いていると妙に心が落ち着くのだ。

ただ、ここで暮らす東京は、嫌ではないが、特に素晴らしくもない。(人間の器が小さいので)小さなことにこだわるのだが、気に食わないのは、スーパーマーケットのコロッケが高いことだ。地方では、50円以下で販売されているロッケが2倍の98円で売られている。下流市民の家に生まれ育ったM林檎には、安いコロッケが必要なのだ。真実は細部に宿るとすれば、コロッケが高いと言うことは、東京は、本当のところは庶民の街ではないのだろうか。住んでいるところにもよるのだろうが、M林檎が暮らしているのは普通の住宅街だ。

M林檎の部屋には、NHKに受信料を払うのが嫌だからテレビを置いていない。でも、全く不自由しないし、ネットさえあれば、Yahoo!やYouTubeで、ほとんどのことが分かる。日本全国の人たちが。広告で小銭を稼ごうとせっせと情報発信してくれるし、ニュースは、24時間流れっぱなしのニュースチャンネルがある。ただ、このようにネットはあるのだが、人とのコミュニケーションは、それなりにしかなく、かなり希薄な状態だ。だから、M林檎は、ネットワークから切り離されたスタンドアロンのコンピュータに似ている。

しかも、YouTubeも完璧ではなく、画面に映る情報は、真実や虚栄のごく一部に過ぎない。だから、ラーメンの味がYouTubeで分からないように、それを妄想で補うのだ。このラーメンは煮干し臭そうだとか、醤油の香ばしい香りがプーンとするとか、脳内の記憶から、過去に食べたラーメンの記憶を辿るのだ。
もしも、YouTubeで味や匂いまで分かるようになったら、逆に肉体的な刺激が何もなくなって、どこにも出歩くことなく、「脳みそ」だけがあれば、それで完結してしまって、まったくつまらなそうだ。しかし、それはそれで、24時間妄想の中に浸っていれば済むのだから幸せかも知れない。

M林檎は、毎日、霞を食べて生きているような生活をしている。情報という、流れては、すぐに消えていく霞の中で、必要な霞をつかみとる仙人の出来損ないのようなものだ。

伝説では、ヒマラヤには、何千年も生きる聖者が住んでいると言うし、悟りを開いた者は、自分の好きな時代に転生するという。それらは全て伝説的な話しなのだが、生身の人間にも百数十歳まで長生きした人がいる。有名なウィスキーのオールド・パーは、長生きして死ぬまで絶倫だったトーマス・パーという152歳まで生きた農夫にちなんでいる。何と122歳で結婚しているというから凄いパワーだ。
東京の一人暮らしで気に入っているのは、庶民のグルメであるラーメン店が多くて味が多彩なことだ。さすがメトロポリタン東京だけに日本全国の有名ラーメンが集結している。

たまに東京駅に行くと東京駅地下の東京グルメストリートを訪れることにしている。
目的は「六厘舎」だ。つけ麺の超有名店で、いつも行列ができているので平均30分くらいは待つことになる。店内は狭いが、回転率がいいので、ラッキーなときは15分くらいで入店できることもある。
カウンターに座ると、横に座る人と肘があたりそうなくらい距離だが、東京駅のエキチカだから狭いのは仕方がない。味は、濃厚な豚骨スープにたっぷりと魚粉が入っている。ドロッとした舌触りのスープにゴワゴワの太麺が、からんでなんとも言えない濃厚な味わいを醸し出している。麺を食べ終わると残ったスープにお湯を注いでくれるので、そのスープを飲み干して〆になる。
「ああー、幸せ!」

さて、2020年→2021年の年末年始は、完全、スタンドアローン状態だった。LINEやメールで会話をする人がいるが、誰とも話しをせずに1週間くらい生活を送るのだ。生活パターンは、決まっている。雑文を書きながら、朝からチューハイを飲む生活が続くことになる。しかし、これにも体力(肝機能)の限界という大きなハードルがある。
さすがに朝から酒を飲むのも三日目くらいから、肝臓が疲れて、歯磨きをする際に胃液を履きそうになるのだ。

年始には、気分転換のために初詣として鎌倉大仏を参拝した。大異山高徳院清浄泉寺(しょうじょうせんじ)の中にある大仏は、奈良の大仏のように建物の中にはなく雨ざらしだが、晴れた日に青い空を背景にして、まるで後光を放っているようだ。
阿弥陀如来像のあの慈悲に満ちた顔は、奈良の大仏の少しキツイ表情とは、正反対で、顔を眺めているだけで、ありがたい気持ちになっていく。阿弥陀如来像の正面に立って、両手を合わせて拝んでいると、何か良いことが起こるような気がしてくる。
合掌!

Last Updated on 2021年2月3日 by Editor

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