1月28日にAppleのCEOジョブズ氏がiPadを発表したとき、スタンディング・オベーションになるほどの興奮や拍手喝采はなく、多くの人が社交辞令で立ち上がり拍手をしているような雰囲気でした。(かなりアップルに義理のある人が招待されていたんでしょうね)
iPad否定論者の典型的な批判は「まるで大きくなったiPod
touchじゃないか」ということでした。発表を聞いてみればOSは現行のiPhone
OS 3.1をマイナーチェンジしたiPhone
OS 3.2じゃないですか。それにiPhoneの何倍にもなった大きな画面には寂しく小さなアイコンが並んでいます。
実は私も最初はがっかり組でした。
ジョブズ氏なら「きっと、何かどでかいことをやってくれる」そんな期待に胸を膨らませていたのですが、結構、期待はずれな感じの1月28日が過ぎました。
後から考えてみると、ジョブズ氏もiPadも悪くなくて、私が勝手に妄想を膨らませ過ぎていただけでした。
後日、ジョブズ氏のビデオを見ながら冷静に考え見れば、ジョブズ氏がiPadというデバイスの位置づけを明確にし、その特徴をPRしていることが分かってきました。
あの(私にとって歴史的な?)1月28日のプレゼンでは、ジョブズ氏はソファーに座ってiPadを使用し、リラックスしながら使うデバイスというコンセプトを強調していました。
またiPadは(ヘビーなユースではければ)何でもこなせて、操作が直感的で、美しいデザインであることも強調していました。
でも、そのキーノートを見た人たちも、でっかいiPhoneやiPod
touchのような形状にとらわれ、その場ではiPadの本当の良さを理解できなかった可能性があります。
ジョブズ氏は周到に準備する人物として知られています。このiPadも周到に練られた戦略に基づいて販売されるはずです。その一端がiPad用iWorkの新規開発です。このアプリが開発、販売されることによって、ソファーでのiPadが、ビジネスでも使えるiPadへと可能性を広げます。結果的に発売1ヶ月で100万台を販売するという快挙を成し遂げました。
しかし、国内のネットでは多機能性を評価されながらも、一方で「巨大iPod
touch論」が幅をきかせていました。電子書籍市場が立ち上がっているアメリカならば受け容れられるが、日本の場合は難しいのではないかという意見が多く発信されていました。
その危惧はある意味正論です。アメリカではiPad発売以前にアマゾンのキンドルという電子書籍専用のデバイスが販売されていて、かなりの人気を博していました。そのキンドルはモノクロ表示ですが、iPadはカラー表示ができて、ブラウジングができて、音楽も聴け、動画も見れます。その多機能のデバイスがキンドルの価格に2万円ほど足せば買えるのです。
では、キンドル(日本語版)が発売されず電子書籍市場が立ち上がっていない日本で、iPadの「大きなiPod
touch」というレッテルが払拭できるのでしょうか?
ひょっとすると短期的には難しいかもしれません。ご存じのように日本では保守的な勢力が強く電子書籍市場の先行きが不透明です。
従って、当面はスマートで格好いいネットブック的な役割を担うことになるのでしょう。従って当初のiPadユーザーは、iPhoneを使っているユーザが、持ち歩くのにネットブックよりはiPadの方がiPhoneアプリも使えて面白そうだという理由で購入する場合が多いと思います。
現在のiPad熱は、日本で発生したものではなく、アメリカでの4月に100万台売れたという熱狂がマスコミによって国内に伝えられたことが大きな要因です。
日本でこのデバイスが普及するにはもう少し時間が必要です。秋にはOSが4.0にバージョンアップし、マルチタスクになって非常に使いやすくなります。今のiPadはシングルタスクなので、ネットなどを多用して文章を書く人には向いていません。
様々な改良を加えながらiPadは進化していきます。使いやすさや便利なアプリが増えて徐々にユーザーを伸ばしていくと思います。また大きな画面には寂しい小さくて間隔の開いたアイコンなどの画面も改善されるでしょう。しかし、日本での本格的な普及は、電子書籍市場が立ち上がってからになるかもしれません。
だからと言ってそれまで待つのはアクティブなビジネスマンにとって機会の損失です。
私たちはiPadを使って日常的に発生する小刻みな時間を有効に使うことができます。その有効性はiPhoneですでに証明されていますが、iPadはiPhone同様、iPod、メール、メモなどの基本的機能に加え、ワープロ、表計算、プレゼンの三種の神器を備えています。iPhoneよりも画面の広さとCPUのパワーアップで、動画、PDFの閲覧、ブラウジング、ゲーム等においてアドバンテージがあります。
iPadは個人の好みに応じてアプリを追加することによって様々なことができるデバイスなので、迷っているならば、迷わず買いだと思います。
買った後、自分仕様に様々なアプリを購入・インストールしているうちに、iPhoneを初めて使った時のように、きっとiPadの虜になるはずです。
Last Updated on 2010年5月11日 by Editor
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