「スリルが欲しかった」坂口杏里の万引き事件が、私たちに突きつけるもの

子どもの頃テレビで見ていたあの笑顔が、どうしてこんなことに——そう思った人も多いんじゃないでしょうか。

坂口杏里、35歳。私たち25歳世代にとっては、幼い頃にバラエティ番組で見かけていた「ちょっと上のお姉さん」的な存在。そんな彼女が万引きで逮捕されたというニュースは、どこか胸がざわつくものがありました。

「お金はあった。でもスリルが欲しかった」

この言葉、正直ちょっとゾッとしませんでしたか。

言い訳にしては正直すぎるし、だからこそリアルで怖い。これって「犯罪者の発言」というより、何かが深刻に満たされていない人間の、素の叫びに聞こえます。

お金があっても、埋まらない何かがある。その「何か」を埋めようとして、最悪の方法を選んでしまった。

転落の始まりは、母の死だった

彼女の歯車が狂い始めたのは、母・坂口良子の死がきっかけでした。大きな存在を失った喪失感を抱えたまま、彼女が向かったのはホストクラブでした。莫大な遺産を使い果たし、借金を作り、アダルト業界へ。

「自業自得じゃん」って思う気持ちも分かります。でも少し立ち止まって考えると、その根っこにあるのって「誰かに認めてほしい」「愛されたい」という気持ちですよね。それ自体は、誰だって持っているものです。ただ彼女は、その満たし方がどんどん歪んでいってしまった。

25歳の私たちにも、他人事じゃない部分がある

社会人になって数年、就職・恋愛・将来のこと……なんとなく「このままでいいのかな」って思う瞬間、ありませんか。

SNSを開けばキラキラした同世代がいて、自分だけが取り残されているような焦り。「何者かにならなきゃ」っていうプレッシャー。彼女のケースは極端だけど、そういう感覚の延長線上にある話だなと思うと、笑えないんですよね。

彼女にとっての「スリル」は、退屈でしんどい日常に穴を開けるための、一種の劇薬だったんだと思います。

「介護の仕事がしたい」という言葉

今回の事件後、彼女は「介護の世界で働きたい」と語りました。ネットでは「無理でしょ」という声が大多数。確かに、介護は責任と忍耐が必要な現場で、甘くはありません。

でも「介護をしたい」という動機の裏にある「誰かの役に立ちたい」「必要とされたい」という気持ちは、本物だと思います。問題はその気持ちを、今の状態で正しく行動に変えられるかどうか。

本当の再出発って、地味なものだと思う

もし彼女が本当に変われるとしたら、「坂口杏里」という名前を手放せた時じゃないかと感じます。

母の影を追って、過去の自分にしがみついて、SNSで世間の反応を気にし続ける限り、心の空洞は埋まらない。本当の再スタートって、誰も自分を知らない場所で、注目されることもなく、ただ淡々と日常を積み上げていくことなんじゃないかな。地味だけど、それが一番強い。

彼女に必要なのは、叩くことでも、かわいそうと思うことでもなく

厳しい批判でも、無責任な同情でもなく、彼女に本当に必要なのは「スリル」がなくても大丈夫な心と、それを支える適切なケアだと思います。

同じ時代を生きる一人の人間として、彼女がいつか穏やかな朝を迎えられる日が来ることを、願っています。

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