1984年の世界は本当に荒唐無稽なSF作家の妄想で終わるのでしょうか?
幸いなことに情報化が進んだ現代社会においても、ジョージ・オーウェルが1984年」で描いたような極端な監視社会は到来していません。
監視社会どころか、逆に今まで秘密にされてきた情報がネット通じて駆け巡り、誰もが簡単に情報(インテリジェンス)にアクセスできるようなり、一部の特権階級が情報をコントロールして権力を掌握・維持することが難しくなって来ました。
エジプトやリビアの民主化ではFacebookやTwitterによって、一般市民に情報が共有された結果、反体制が大きなエネルギーとなり、独裁者を倒すまでに至ったというのは本当に驚くべきことです
しかし、そのようなプラスの側面ばかりが強調されていますが、果たしてスマートフォンなどのIT機器の普及が、私たちの自由をより拡大したり、さらに私たちの思考を活性化させたりしてくれるのでしょうか?
Facebookの危険
実はネット上で個人情報を収集し、データベース化して販売する企業が現れていると聞きます。企業は個人を採用する際、そのような会社に個人情報を照会し、採用候補者の過去の言動、思想、好みなどを調査します。
特にアメリカにおいてはFacebookなどを中心とした実名での情報公開に対するアレルギーが日本ほど強くありませんから、情報収集は比較的容易です。
情報収集に関しては、一時的な情報を収集するだけならば、情報にあまり価値はありませんが、長期間にわたり情報を蓄積していくと、個人の思想や志向、性格が見えてきてその情報の集積体に価値が生まれます。
あなたが就活する際、過去のFacebookやブログでの発言が原因で、不採用となるケースがあるかもしれません。ただし、企業はそのような情報にアクセスしていることを表に出しませんから、個人は不採用の原因が分からず、混乱してしまうかもしれません
立場の弱いサラリーマンの皆さん、Facebookやその他、個人を特定されるような情報発信は止めておきましょう。そのような情報発信をして良いのは、自営業かサラリーマンでも実質個人事家のような専門職に限られます。
一般のサラリーマンは。何を言われようが、あくまでも匿名での情報発信に留めておくのが懸命です。
スマートフォンは現代のテレスクリーンか?
1984年においては、誰もが双方向テレビのテレスクリーンによって24時間監視されます。そこでは自由な思想を持つことができませんし、不用意な発言をすると「思想警察」に捕まってしまします。
さすがに現代においては、そこまでの思想統制はありませんが、徐々にスマートフォンによる監視社会が訪れようとしています。
先日、付き合っている彼氏を監視するスマホ・アプリが話題になったように、スマートフォンはGPS付きのコンピュータですから、専用アプリをインストールしておけば、個人の行動を逐一監視することができます。
そのようなことを国家単位で行えば、スマホは現代のテレスクリーンに変身してしまいます。当然、そこまではできませんが、企業単位であればスマートフォンによって社員を監視することは容易です。
他にも反社会的な組織がメンバーに対して、スマートフォンによって監視を続けるかもしれません。スマートフォンによってどのような監視が考えられるか、思いつくまま、下にピックアップしてみました。
*GPSによる位置の確認→マッピング
*ウェブ、メール、電話、使用アプリの監視
*テレビ電話による定期的な監視
*マイクによる音声の収集
これらのことを行えば、あっというまにスマートフォンは現代のテレスクリーンになってしまいます。
私たちは、テクノロジーによって様々な便利さを享受していますが。ITテクノロジーが進む先に見えるのは、Googleが進めているような「世界全体をデータベース化する」という究極のデータベース構築です。
DNAから始まり、ゆりかごから墓場まで、様々な行動や成績、病歴などがデジタル化されデジタルデータとしてストレージに記録され続けます。(そこには紙のデータのような劣化はありません)
昔、ティモシー・リアリーはじめとする多くの人たちが、コンピュータが人類に新しい可能性や自由をもたらせてくれると考えましたが、情報を自由に獲得できるようになればなるほど、自分自身の情報もどこかで取得され、管理されるというジレンマに陥ります。
人類にはこれに対して、何かの防御先を構築するのでしょうか? それとも、ただ歴史の流れに身を任せ、行き着くところまで行って、やっと変化の必要性に気がつくのでしょうか?
極端なデータベース化が進み、監視型スマートフォンが導入される時、1984年の世界が悪夢のように蘇ってくるのかもしれません。
そうならないためにも、個人情報の収集やGPSによる監視には何らかの法的規制が必要な気がします。
Last Updated on 2015年6月28日 by Editor
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